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個人事業と法人経営、法人設立の注意点

2014年 3月 24日
創業支援

人事業と法人経営

小ない資本で開始できること、開廃業や移転の手続きが柔軟に行えることなどから新規開業する際は一般的に個人事業から始めることが多いです。

事業が軌道に乗り、収入が増えてくると法人税等の実効税率が低いことや、消費税を一時的に免除されることから会社組織にすることがありますが、一概にいくら以上の所得が有利とはいえません。個々の経営者の事情にもよりますし、会社として利益を上げて少ない税金で済んでも、経営者の生活費、遊興費として自由に使えなければ意味がないため、多くの収入を稼得しても個人事業のままという経営者もいます。 一般的に言われる法人設立のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 保険によっては法人契約の生命保険が会社の経費になる
  • 個人事業では認められない経営者(社長)の退職金規定や出張旅費規定が認められる
  • 社会保険に加入できるため、健康保険料が安くなったり、国民年金より将来の年金受給額が増えることがある
  • 自宅を会社名義にして市価より安い賃借料で社宅として住むことができる
  • 繰越した損失は所得税よりも長期にわたって将来の利益と相殺が可能である

デメリット

  • 設立には登記費用が掛かり、廃業するにも登記が必要になる
  • 税務申告が複雑になり所得税のように自分で申告するのが難しくなる
  • 赤字でも均等割など税金が発生する
  • 経費となる交際費に上限がある
  • 役員報酬の変更は原則年一回しか認められていない

法人設立の注意点

資本金

株式会社の資本金は1円でも設立することが可能です。ただし小資本の会社は設立しやすい反面、たまたま業績が悪く赤字になった時、債務超過(総資産より総負債の方が多い状態)に陥りやすくなります。仮に資本金が1円であれば設立直後に2円の赤字を出すだけで、債務超過(資本金で赤字を補うことができず、資産より負債が多くなる)となり、銀行や取引先から警戒されます。やはり事業を長く続けるのであれば、ある程度の資本金は、あったほうがいいでしょう。

所在地

創業支援本店所在地は営業所や自宅などを選ぶことが多いですが、将来、信用保証協会保証付融資の利用が見込まれる場合、可能ならば保証協会のある市町村を選ぶといいでしょう。例えば名古屋市の事業所の場合、愛知県の県保証と名古屋市の市保証それぞれに申し込むことができます。保証協会のない市町村に本店所在地がある場合、県保証しか申し込むことができませんので借入の選択肢が少なくなります。

役員

取締役の一部を自身の親兄弟や知り合いなど、経営に携わらない方に頼まれる経営者がいます。通常の場合は問題になりませんが、その取締役候補者が以前かかわった会社などで保証協会にまだ債務が残っていたり、金融機関とトラブルがあった場合、その候補者とあなたの会社が同一とみなされ融資などの取引を断られる場合があります。取締役1人での会社設立・運営は可能ですから懸念がある場合は無理に役員を増やさない方がいいでしょう。

事業種目

事業内容によって融資が受けられないことがあります。公序良俗の観点から支援・育成には好ましくない業種などが融資対象外とされているのです。本業ならともかく、将来進出するかも知れない程度で、事業目的欄に風営法の対象となる業種や金融業などは入れない方がいいでしょう。

決算日

消費税の課税事業者になることや税務申告のコストを考えると設立第一期はできるだけ一年間近く取れるように設立すべきでしょう。

また年度を意識し3月決算にする会社が多いですが、税務調査の観点からいえば、あまりお勧めできません。もちろん例外はありますが、一般的に2~5月決算法人の税務調査は上期(7~12月)に、6~1月決算法人の税務調査は下期(1~6月)に行われると言われています。上期の7月は税務署員の異動直後ですから時間があるためじっくりと調査される、下期は確定申告期間をまたぎ7月に異動するため時間がかけられず、あっさりとした調査になると言われています。